「雲のうえ」スタッフの講演会

先日、「戸畑かいわいまちづくりびと塾講演会」に
参加してきました。


タイトルは、『雲のうえスタッフが見つけたまちの魅力・
ひとの魅力』。
トーク演者は、牧野伊三夫さん(画家・北九州市出身)、
中原蒼二さん(プロデューサー)、南陀楼綾繁さん(編集者・
文筆家)、と「雲のうえ」と深くかかわるお三人です。


「雲のうえ」誕生の経緯、創刊された当初のエピソード、
制作にまつわる背景…などなど。街に入り込んで制作する
編集スタッフの素顔がわかるスライドもあって盛りだくさんの
内容でした。


中でも、創刊当初のお話は興味深いものでした。


「雲のうえ」の制作を依頼された時、いったいどんな冊子に
すればよいのか…次々と新しい建物や道路ができて変わりゆく
街の姿…牧野さんの思いは、第1号の編集後記に掲載されて
いるので、一部抜粋します。


「…日々の暮らしや街の表情からみれば、北九州は方々で急速に
消滅しつつある土地のにおいや陰影といったものを、まだ
残している。地理や歴史がつくるひときわ濃い風土が、血や
肌に熱を感じさせる。他に類のないこの風貌のなかに酸素を
送りこみ、魅力的な未来を築く方法はないだろうか。
 創刊号では「角打ち」をとりあげてみた。これからも北九州
の街かどを虫眼鏡で、同時に雲のうえからながめていく。
この街にふさわしい歩みのテンポを見つけるためである。
小誌が街づくりに、そして市街から関心をよせていただく
よすがになれば幸いである。」


また中原さんは、出来上がった冊子をいったいどういう人に
届けるか、ということについて。
当時、東京でいろんな情報を取り扱う面白い古本屋さんが
生まれていた。そこに集まる方たちに読んでもらえれば、
「雲のうえ」の魅力が伝わり、話題になるのでは…と考え、
そういう古本屋さん一件一件を訪ね、配り歩いたそうです。


また情報の届け方についても。まるで水の波紋のように
遠くの人にも届けば。。。と。
ご本人のブログにその時お話しいただいたことが書かれています。
http://ho-bo.jugem.jp/?eid=2038


「雲のうえ」が取り上げてきたもの、たとえば人であれば、
その人にしか語れないモノ、そういうものが「雲のうえ」にある、と。
様々な情報誌やメディアに影響を与えてきた「雲のうえ」ですが、
誰にも決して同じものは作りえない。今、「雲のうえ」がなくなったら、
二度と同じものは作れない、と唯一にして無二であることも
中原さんは強調されていました。


司会進行をされた南陀楼さんは、今ではすっかり世に知られる
こととなった本のイベント「一箱古本市」の仕掛け人ですが、
はっきりと、一箱古本市は「雲のうえ」に通じるものがある、
と言われていました。
一箱古本市http://sbs.yanesen.org/


全国にも多くのファンを持つ「雲のうえ」ですが、現状では発行回数が
減っており、今後の存続の不安定なことや、意外に地元・北九州や近隣市町村の
方々に知られていないことなど、課題も提示されていました。


「雲のうえ」制作背景をたっぷり2時間。まるで本一冊、映画を一本
見終えたかのような充実感を感じました。


今後の「雲のうえのしたで」での活動にあたっても
とても参考になるお話しばかりだったような気がします。


フリーペーパーを応援するフリーペーパーとしては
おそらく全国ではじめての「雲のうえのしたで」。
「雲のうえ」がなくして生まれず。。。
唯一無二の「雲のうえ」をこれからもずっと応援していきたいものです。


(緑々みやした)