マップの先へ 後篇

さてさて、マップ飛び出し散策の後篇。


岬ノ山公園、古前市場をあとにして、若松駅へと向かっていくと、海沿いのマンション一帯につながる白い歩道橋。
上ったところに



天まで届きそう…この先には何が?
なかなか長そうな階段ですが、覚悟を決めていざ!


見えていたところを上りきると鳥居が。


そしてさらに長い階段…。ひー。
ここの民家ににお住まいの方はタフだなぁと、思いつつひたすら上ります。
よいしょどっこいしょ、途中すれ違って挨拶した少年の軽い足取りがウラヤマシイ。
あと少し!



金比羅神社でした。葉桜の木陰では少年達がのんびり。


ああ、ここが「オカジョーキガピー」の神社だんたんだ!


若松出身の作家、火野葦平が描いた「花と龍」。その中で、登場人物のドテラ婆さんがここで花見の宴を催し、磯節という歌を歌うのです。




♪若松名所を知らない人に若松名物知らせたい
金比羅山から岬の山、桟橋眺めりゃ岡蒸気がピー♪




この歌のとおり、知らせたくなる景色です。若松だけでなく、海越えて下関まで見渡せます。
歌の節回しはどんなだったんだろう?賑やかな声が聞こえてきそうな気がしました。






神社の後ろにまわってみると




…また階段?!
しかし上らずにはいられない。よいしょ、よいしょ。




高野山別院の東南院です。高塔山の森がすぐ後ろにせまり、境内は静か。
ここからももちろん洞海湾を望むことができます。


地蔵堂があったのでのぞいてみると、「あしへい地蔵尊」が奉ってありました。似ているような、どうなのか…うーん。お参りしてみてください。
かつて若松で火事がおこると、一番に鳴ったのがここの鐘なのだそうです。






家と家の間を縫うような、くねくね坂を下ります。



この景色、まるであの港町のような…。


お買いものからの帰りか、ビニール袋を提げて坂を上ってきた女性がお宅の中へ。
また歩いていると傍らの家の扉が開いて、これからおでかけされる方の姿。
坂の先の方では、小学生たちが駆けて行く。


そこに住まう人が行き来するのを見たとき、「まるでどこそこのような…」と違う街の名を連想していた自分が、なんだか急に恥ずかしくなりました。街の成り立ちや暮らしはそれぞれにあり、この街に住む人はここにしかいない。他にふたつとない場所なのだと気づかされました。







坂を下りきったところには修多羅小学校。すたら、と読みます。サンスクリットで経典の意。
下校時間の子どもたちは坂の街へ帰っていくところ。この坂道を毎日通うのなら丈夫なはずだわ。


そんな修多羅っ子を、店先に立って明るく見送る女性に出会いました。



修多羅市場は青果店精肉店が営業中。いつもこの時間には下校する子ども達を見守っているのだそうです。
黄色い帽子の女の子、何か思い出したのか学校の方へ引き返す。「忘れ物したんでしょ?」と市場の女性。女の子は照れた顔。
みんながにこにこしている夕方。自分も街の仲間に入れてもらったような気分でした。






若松の商店街に戻ってきました。




ウエル本町商店街。なぜこのネーミングかご存知でしょうか?

それは




Well、井戸からきているのです。
戦時中、防火用として作られたとのこと。現代的なミニ型ポンプもあり、新旧様々な形のポンプ6機を見ることができます。ちゃんと水も出るので、ギコギコしたことがない方も、懐かしい方も、ぜひ訪れてみては。






つぎにやって来たのは「おそうざいの店」という名の、お惣菜のお店。共栄市場内。
銀天街で会いましょうに掲載されており、雲した0号の取材時にもお邪魔しました。




「よく来てくれたねぇ。」変わらぬ笑顔にこちらもにっこり。
てきぱきとした姿にこちらも元気を頂くような気持ちになります。
煮物だけでも筑前煮、蓮根の煮物、筍の…と種類が豊富。サラダに、天ぷらに、どれも色どりよくて目うつりしてしまいます。あと一品…今日は忙しくて…という時、若松のおかあさん達の強い味方です。






お夕飯のおかずも手に入れて、後は食後のおやつを残すのみ。
若松ではおなじみ「とらや」で茂兵衛まんじゅうを買いました。




お店の男性はタオルを頭にきゅっと巻いて、できたてを用意してくれました。ビニル袋にはかわいいトラちゃんの絵。
茂兵衛まんじゅう、形は回転焼きですが食感はまるで違います。もちもちして、持っただけであんこがたーっぷりと入っているのがわかります。薄皮ははちきれんばかり。1つ80円、黒あんと白あん。卵、乳製品不使用の徹底ぶり。




おまんじゅうのぬくもりを感じつつ、歩きに歩いた坂と市場の旅を終えます。
ここでしか出会えない景色に、人に、会いにきてみませんか。(城田女将)







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