豊前豆本。岡田始さん。ネコ。

こんにちは!古書城田です。


先日、夕方、ひとりの大学生さんがご来店。
あおあおさんに置かせて頂いてる「古書城田一箱出張市」で
豊前豆本を見て、興味を持ち、当店を訪ねてくださったようです。





卒業論文を手作り豆本のカタチで提出したい!という
イデアをお聞きし、それは面白いな〜!嬉しくなりました。


さらに「この豊前豆本を発行されてた岡田始さんって
どんな方だったんですか?」と、ご質問。


私もお会いしたことはないのですが…。




山福康政さん著「風の道づれふらふら絵草紙」135頁に
「天国で豆本をつくりつづける岡田始さん」という
一章があります。すこしだけ抜粋させて頂きますと…


  …岡田さんは教師で、昨年のいまごろ、68才で
  あちらへ行かれました。この世でオカネをしこたま
  ためるのも喜びのひとつでしょうが、岡田さんは
  もうからんことに精出すのも、また喜びであることを
  身をもって教えてくれました。
  

  …15年前から限定二百部の豊前豆本を刊行。毎号趣向を
  こらし、あるときは河豚の皮、タケノコの皮、ミノ虫、
  焼きベニヤ板等々。一番たまげたのは猫のなめし皮に、
  三味線の糸とじ本、猫好きのぼくの娘はギャッと叫んだ。
  

ここで、ギャッと叫んだ娘さんは、現在絵本作家の山福朱実さん。
その豆本は「第19集 句集ねこ・猫・ネコ(昭和55年10月刊)」です。


「第31集 豊前豆本書影集(昭59年4月刊)」
※岡田さんが各地であつめた喫茶店等のマッチ箱
200個を函に使用、マッチ棒1本が添付されてます!





によりますと、


   第19集 句集ねこ・猫・ネコ(昭和55年10月刊)
   ネコの皮で装丁。内容も猫にまつわることわざ、
   名詞の説明、古今の俳句、猫アラカルト。
   カットは山福康政氏、俳句集めは増田連氏、
   大福帳形式トジ糸は三味線二の糸。


さらに「第40集 終刊号 岡田始先生追悼号(昭和62年7月刊)」
の14頁、こちらはチョット全文、うつさせて頂きます。

   
   思いで  城田晴吉

   
    「晴さん、何か無いかネエ」、顔を合わせたら
   第一声がいつもこれ。それから二人連れ立ち豆本
   の材料さがしに随分うろうろと歩き回ったものです。

   
    ある時、例により私の店(琴三弦店)で雑談し
   ている所に皮の切れはしがころがっていて、二人
   が思わず顔を見合わせたものです。


    「猫の皮で猫をテーマに……」と即決。凝り性
   の先生の事、どうせやるなら三味線の先生に使い
   古しの糸を集めて下さるように頼んでくれんかネ」
   さすがアイデアマンです。


    「出来た、出来た」と試作品を一つ持ってきて
   下さった時の笑顔が今も目にうかんできます。乾
   杯したビールを先生はいかにも美味しそうに飲ん
   で居られました。

  
    今頃天国でどんな傑作を作っていることでしょう。
    御冥福を心よりお祈り申しあげます。



豆本づくり、とにかく楽しそうだな〜、コレって
余程オモシロかったんだろうな〜!と思います。


岡田始さん、
山福康政さん(印刷業)、
増田連さん(古書店主)、
そして、200匹?のネコたち…。


城田晴吉(和楽器店)は、私(古書城田)の父です。
この追悼号刊行の翌年、昭和63年7月に、あちらへ行きました。



この「句集ねこ・猫・ネコ」現物を探したのですが、
見つからず…。情けないことです。
ども、すみまシェーン(山福さん風に)