これからもそうだ。

下関市出身・在住の芥川賞受賞作家、田中慎弥さんのエッセイ集
『これからもそうだ。』西日本新聞社刊

牧野伊三夫さんが絵を描き、有山達也さんが装幀をてがける本です。
そして北九州市のお隣り、下関出身の作家の方が文を書くともなると・・・
芥川賞を受賞した『共喰い』も読んでおりませんが、読んでみました。

電車に乗って、福岡県内のあちこちへ行き、
それぞれの土地で見たことや感じたことを書いています。
小倉、行橋、若松…と馴染み深い町が次々にでてきて、
（福岡に住んでいる）私達にとっては嬉しい内容。
すらすらとページをめくりました。
これは福岡以外の人が読んだら、どんな町に映るのだろう。

著者は町を歩くにつれ、
しきりに「町おこし」「人情」という言葉をは嫌いだと連ねていた（ような気がしました）。

「北九州や下関のような地方都市に若い人間が定住するようではどうしようもないと思う。
街というのは住むだけでなく、捨てるものでもある。」

このことばには少しびっくりしました。
他にも端々にこんなことばが紛れていて、ドキリとします。

装幀も、（フランス装）
絵も、（本のまん中あたりに絵のページが連なる）
素晴らしいので読んでみてください。

（林）